Met brings Strauss back to New York
Metropolitan Opera 11.29.2024
RICHARD STRAUSS
CONDUCTOR
Yannick Nézet-Séguin @nezetseguin
NURSE
Nina Stemme
SPIRIT MESSENGER
Ryan Speedo Green @speedogreen
EMPEROR
Russell Thomas @travlingtenor
EMPRESS
Elza van den Heever @elzasoprano
DYER'S WIFE
Lise Lindstrom @liselindstromsoprano
BARAK, THE DYER
Michael Volle @michaelvolleofficial
@metopera @metorchestra @maroon.ak
メットでシュトラウスの影のない女が始まった。ピットで楽譜を見せてくれているのは、勤続11年目のマルーンだ。いつもご苦労様です。ホフマンスタールと4作目、1919年にウィーンで初演。神秘とロマンに満ちた愛と慈しみを壮大なオーケストレーションと共に歌い上げていく。休憩2回4時間。ニューヨークからシカゴの飛行時間だ。演奏会に3回行ったくらいの満足感。中々奇抜な物語にシュトラウスの巧みな管弦楽と歌曲の数々が繰り広げられるが、カペルマイスター、ヤニックのぼうが素晴らしく、どのテーマとアンサンブルにも彼の個性とオーケストラが良く反応して、目まぐるしく変わる表現を透明で遊びと迫力に溢れた音楽の流れで、一瞬でもオペラの面白さから意識が逸れることがなかった。時に両腕をブラスに構えて顔をブルブル振ってブラスが鳴る。彼は影そのものでメットオーケストラそのものなのだ。シュトラウスがサロメやエレクトラ、薔薇の騎士、アリアドネなどで喜怒哀楽を音楽にして来た技がこのオペラにはふんだんに盛り込まれていて、それら一つ一つにヤニックとオケの呼吸や興味が伝わっていた。例えばフルートは魔法、夫の慈愛、妻や皇后などなど様々な感情表現に歌の伴奏やソロで演奏されるが、それぞれ音色も表現も違って面白い。クラリネットは、ほんの少しそのフレーズの最後に加わる音色さえクリアで存在感に溢れていてシュトラウスの面白さをより知ることができる。バイオリンとチェロに長い独奏があり、いつのまにか物語に引き込まれていく。ヤニックのぼうが澱みない流れを作りシュトラウスがメットに蘇る。弦は時に毒毒しく、時に黄金に、クリスタルに、木管のリードもばっちり。ハープや打楽器のバランス。バンダの効果もよく考えられていたが、オルガンと一部の声はスピーカーからでていて残念。予算か。歌手はみんな素晴らしかったが、リンドストロームはブリュンヒルデの様だった。おばちゃんたちも、あれは妻ではないと。まあ最初の挨拶の様なものだ。バンデンヒーバーはサロメの様だった。ラッセルトーマスが張りがあっていい声だった。しかしヤニックのシュトラウスはベルリオーズが聴きたくなる。2幕のチェロのソロの音色がハウスいっぱいに鳴り響いた時、20年以上通って来たこの場所にアットホームな居心地の良さ感じた。
メットオーケストラ、コンサートマスターのデビットとチェロのラファエル。どのソロもすばらしかった。
1919年、1次大戦開戦の翌年にウィーンで初演された。1幕ダイクの慈愛のテーマ。