2.5.2024
Czech Philharmonic at Carnegie Hall
Semyon Bychkov, Chief Conductor and Music Director
Daniil Trifonov, Piano
Lyubov Petrova, Soprano
Lucie Hilscherová, Mezzo-Soprano
Dmytro Popov, Tenor
David Leigh, Bass
Daniela Valtová Kosinová, Organ
Prague Philharmonic Choir
Lukáš Vasilek, Choirmaster
Program
DVOŘÁK Piano Concerto
JANÁČEK Glagolitic Mass
彼らにとってドボルジャークやヤナーチェクはイタリア人がパスタを食べるように自然だ。彼らはそのレシピを変えず世代を超え守ってきた。一日前のマーラーでは楽員たちの意識や考え、息遣いが伝わってきて、それぞれの歌い方の違いも楽しめたが、このプログラムは彼らの血で演奏され、オーボエは鳥のように鳴き、コントラバスは小川に回る水車の様で弦楽器は風の模様だった。その時と土地の匂いがする。収穫を待つ小麦が夕日に照らされて黄金に輝く。トリフォノフは相当個性的だが、チェコフィルの天然ドボルジャークでも彼の個性は同じく輝き、溶け合い、満席のカーネギーの聴衆を特別な気持ちにさせてくれた。ヤナーチェクのグレゴルミサはスラブ人最古の言葉、グラゴル語で歌われ生々しかった。オーケストラの音色かどうか忘れてしまうほど、楽器がその世界と溶け合って、合唱、歌手たちの言葉、歌。祖国の独立と恋人への情熱、73歳のヤナーチェクの野心を感じる。ヤナーチェクは無宗教で、「敷石の下の墓、祭壇の上の骨、絵画の中の拷問と死。教会は死の本質。」と言っていたそうだが、オーケストラが繰り広げる世界はベルリオーズ、ブラームス、ベルディにつながる神秘とドラマで、純粋な自然とスラブ民族愛を感じた。教会は巨大な森の天蓋、羊の群れや鐘の響き、合唱は民衆の歌、ソプラノは天使のような少女の声。まるでゴッホの絵が音になったようだ。