ニューヨークにあるレコーディング兼リハーサルスタジオで、4つの弦楽器がそれぞれ違う音の幅と強さを、いったりきたり音に揺られて時の旅。昨日聴いたシベリウスが聴こえた。
その空間はコンサートホールのような余韻や聴衆の雑音を感じない。音の形がくっきり浮かび上がるようだ。そして、この曲はいくつかのパートに分かれていたが、たまに音が止むと、聴衆の雑音を一切感じない無音だった。
ラングは、何かを表現したのではなく、時間の中で流れる音の美しさを体験してほしい、と語った。
演奏を眺めていると、彼らは構えて音を奏でているだけで、表情をつけない表情に集中しているように見えた。それぞれの楽器は違う音の幅を行ったり来たりする。ラングの音の反復の中で、いつの間にか、枯れ乾いた自然の匂いがした。モンゴルの草原で羊に囲まれていた。次は真冬の風にさらされていた。そして朝霧の白鳥たちがなく声を聴いていた。それは体験した記憶だった。
実際、音が移動するが終わってみると元の場所に帰っているというパラドックス。音が止むと、聴く前の自分に戻っていた。
そして、コンサートは終わり、外に出てみると、まるで違う世界のようだった。エアコンのノイズさえ音楽に聴こえる。
朝になると元にもどっていた。
TIME:SPANS – Contemporary Music Festival
Klaus Lang the long field, 2024
a new string quartet for Bozzini Quartet
* World Premiere
DiMenna Center for Classical Music
450 W 37th Street
New York, NY 10018
Klaus Lang: Caritas (2023)
マーラー 4番のアダージェットのようだ。こちらはオケの編成だが、雰囲気はこの様な感じ。
Clemens Merkel, violin
Alissa Cheung, violin
Stéphanie Bozzini, viola
Isabelle Bozzini, cello
TIME:SPANS – Contemporary Music Festival
Klaus Lang: Space Paradox クラウス ラングの新空間